クロムメッキや金属などを構成し、手で描いたとは思えない程緻密な画面を油彩で表現しつづけている牧田愛(b.1985)。眩暈を起こさせるような無機質なモチーフは実際に対峙してみると血管のように生々しく、自然の崇高性に近づこうとする牧田の意図が感じられるようです。
今回展示するのは「宇宙標本」と名付けられた作品群。空想上の宇宙生物が、牧田の精巧な筆致で描き出されることによって活き活きと画面上を浮遊します。額装も標本箱を想起させる仕様となっています。
「無機」物モデルにしながらも、その中に「有機」的な存在を見出そうとするコンセプトを貫いてきた牧田。その裏には牧田の持つ人間や自然界への深遠なまなざしが潜んでいるのです。ぜひご高覧ください。
今回牧田愛は同時期開催の3331 Art Fair 2016 ‒Various Collectors Prizes-にも参加しております。
--
牧田愛
1985年 千葉県生まれ。2013年東京藝術大学大学院修了。主な個展に「それとしてふるまう」(ラディウム・レントゲンヴェルケ、2015)、「13・17」(AI KOWADA GALLERY、2013)など。
主な受賞に「第18回岡本太郎現代芸術賞」(入賞、2015年)「テラダ・アート・アウォード」(入賞、2014年)。主なコレクションには東京藝術大学、高橋コレクションなど。