AI KOWADA GALLERYでは来る1/12(土)より明石雄の個展を開催いたします。
明石はキャンバス上のあたらしい平面表現に挑戦しながら、"ノイズ"という存在を描き続けている若手アーティストです。東京芸術大学先端芸術学科の卒業制作である、起毛したフェルト布と大量の砂を用いた
ペインティング作品で"アートアワードトーキョー2008"準グランプリを受賞、その後も類を見ない彼独自の技法と高い表現力で大変注目されています。
明石は視覚情報を"シグナル"と"ノイズ"に二分して考えます。 主題となるイメージである"シグナル"に対し、制作者の意図なく忍び込むのが"ノイズ"。例えばフィルム上の塵や、映像のブレのようなものを指します。その"ノイズ"の方にこそ美意識としての時間感覚が現れているのではないか、と明石は言います。投影された骸骨そのものには時間が存在しないが、そこに密やかに紛れ込んでしまう"ノイズ"にこそ骸骨を見つめるこの一瞬が宿るから、と。
今回の最新作では明石の継続的なコンセプトである"ノイズ"の存在をより具体的な形と質量を持つ存在として捉えようと試みています。
たとえば80年代の古いプロジェクターを用いた初期的な写真技術を導入したり、実際の塵をスキャナーで取込んだ"ノイズ"を"シグナル"である現像されたイメージ上に織り込むといった表現方法を用いました。
完成作品からは制作方法の想像がつかないほど複数の異なる手法が掛け合わされたミクスドメディアペインティングです。
明石の表現世界が一層深化した本展をぜひご高覧ください。