このたびAI KOWADA GALLERYでは尾形理子個展「Outside The Box」を開催します。
ダウン症を得て生まれた尾形理子(b.1994)は、独自な色彩世界を特徴とし、世田谷美術館区民ギャラリー・新国立美術館などにおける絵画展への出品を通じ、着実にファンを増やしてきました。
AI KOWADA GALLERYは'15年、伊藤忠青山アートスクエアをメイン会場とし、東京・青山地域全体で開催された『国連・世界自閉症啓発デー』の企画運営に携わり、様々なハンディキャップを持ちながらも、アートフィールドで活動をし続ける60名余のアーティストを紹介しました。
その模様はNHKニュース、読売新聞、産經新聞をはじめ様々な媒体で紹介され、多くの注目を集めました。
またギャラリーは今年1月より『千代田区文化芸術プラン重点プロジェクト』として機能する3331アーツ千代田に拠点を移しました。3331アーツ千代田はPlace of Core+Relation ART(ポコラート)と称し「障がいの有無に関わらず人々が出会い、相互に影響し合う場」というコンセプトに沿った様々なイベントを2011年より開催しています。
今回紹介するのは尾形理子。
生まれつき言葉でコミュニケーションを取る事が困難で、アートこそが言葉の代替の存在であると言います。
彼女は"おがたりこ"名義で地元地域でのさまざまなイベントに勢力的に協力し、またそのシンプルなイラストは、ビールやお菓子等の商業製品ののパッケージに採用されたり、アートを通して幅広く活動しています。描く事で社会と関わり、繋がっているのです。
『Outside The Box』と題される本展。「Box=箱」は、ミクロには尾形自身の「少女から大人に変わりつつある心象変化やその葛藤」を、マクロにはダウン症をはじめとしたハンディキャップが、尾形や尾形の周囲の人々、また私たち社会に与える様々な制限についてのメタファーでもあります。
本展は、尾形の華奢な身体全体で200号超の大きな画面に向かい、ハケや筆を用いて一ミリの迷いの無い素直なストロークで描かれたペインティングを中心に構成されます。
自由闊達かつダイナミックな色彩と線で、毎回フレームからはみ出るほどの力強さで画面を構成する尾形。そんな彼女が描き出す作品そのものが、「箱の外」の景色を垣間見せ、いつもとは違う価値観を与えてくれる存在であることに気づかされます。
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尾形理子
1994年 東京生まれ。
主なグループ展に「アート未来展」新国立美術館(2010)、「第30回平和美術展」
世田谷美術館(2012)、「3331アンデパンダン展」3331アーツ千代田(2014)、
「FANTASTIC DAYS」タンバリンギャラリー(2014)など。